遺品整理を進める中で、思いがけず骨董品や美術品が見つかることがあります。古い蔵の奥から、代々受け継がれてきた掛け軸や陶器が出てきたり、亡くなった親族が集めていた古銭や切手が発見されたりと、その種類は実に様々です。
しかし、素人の目には、それらの品物の価値を見極めることは容易ではありません。希少性の高いものを見落としてしまっては、故人の思いを無駄にしてしまうことにもなりかねません。
そこで重要になるのが、専門家の知見を借りることです。骨董品や美術品の評価を生業としている鑑定士や、買取を行っている専門店のスタッフなら、その道のプロとして、的確にアドバイスしてくれるはずです。
とはいえ、全ての品物を専門家に見てもらうのは現実的ではありません。ある程度の目利きができるようになっておくことが、遺品整理を効率的に進める上でも大切なのです。
本記事では、骨董品や美術品の評価方法について、専門家に話を聞きました。素人にもわかる見分け方のポイントから、信頼できる鑑定士や買取店の選び方まで、実践的なアドバイスが満載です。ぜひ最後までお付き合いください。
1. 骨董品や美術品の基本的な見分け方
骨董品や美術品の価値を見極めるためには、まずその基本的な見分け方を知っておく必要があります。ここでは、専門家による、素人にもわかるポイントをいくつかご紹介しましょう。
作者や製作年代に注目する
骨董品や美術品の価値を大きく左右するのが、作者や製作年代です。有名な作家の作品や、歴史的に重要な時代のものは、一般的に価値が高くなる傾向があります。
掛け軸や絵画、彫刻などには、作者の署名や落款(らっかん)が入っていることがあります。また、陶器や漆器などの工芸品には、製作者や製作地、年代を示す銘(めい)が入っていることもあります。これらの情報から、作者や製作年代を特定できる場合があるのです。
ただし、署名や銘は、贋作(がんさく)の可能性もあるため、注意が必要です。専門家でも見分けがつかないほどの高度な贋作も存在するため、確認には慎重を期す必要があります。
材質や技法を確認する
骨董品や美術品の価値は、使用されている材質や技法によっても変わってきます。希少な材料を使った作品や、高度な技術を要する製作方法のものは、一般的に価値が高くなります。
例えば、陶器の場合、磁器と陶器では価値が異なります。同じ磁器でも、有田焼や九谷焼、京焼など、産地によって評価が変わるのです。
また、漆器の場合、塗りの種類や塗り重ねの回数、蒔絵(まきえ)の有無などが、価値を左右する要因になります。
美術品の場合も、使用されている顔料や画材、描画の技法などが重要なポイントになります。日本画と西洋画、油彩画と水彩画では、評価の基準が異なるのです。
保存状態をチェックする
骨董品や美術品は、古いものであるがゆえに、経年劣化は避けられません。しかし、その保存状態の良し悪しは、価値に大きく影響します。
キズや欠け、変色や剥がれなど、目視で確認できるダメージがあるかどうかを、まずはチェックしましょう。美術品の場合は、カビやシミ、破れなども要注意です。
また、修復歴の有無も重要なポイントです。上手に修復されていれば問題ありませんが、安易な補修は価値を大きく下げる要因になります。
保存状態のチェックには、専門家の目が欠かせません。素人には見抜けない微細なダメージや、適切な修復かどうかの判断は、プロにお任せするのが賢明です。
2. 信頼できる鑑定士や買取店の選び方
骨董品や美術品の評価を依頼する際は、信頼できる鑑定士や買取店を選ぶことが大切です。ここでは、業者選びのポイントをご紹介しましょう。
実績と専門性を確認する
信頼できる鑑定士や買取店を選ぶためには、まずその実績と専門性を確認することが重要です。長年の経験を持ち、専門分野で高い評価を得ている業者なら、信頼して任せられるでしょう。
鑑定士の場合は、所属している団体や資格、これまでの鑑定実績などを確認しましょう。美術品の鑑定であれば、美術史の専門家であることが望ましいです。
買取店の場合は、創業年数や取り扱い実績、専門分野などをチェックすることが大切です。特に、骨董品や美術品に特化した買取店なら、より専門性の高い評価が期待できるでしょう。
鑑定方法や買取価格を比較する
業者選びの際は、鑑定方法や買取価格についても確認しておきたいポイントです。適切な鑑定方法で、納得のいく価格を提示してくれる業者を選びたいものです。
鑑定士の場合は、鑑定書の発行の有無や、鑑定料の設定などを確認しましょう。美術品の鑑定であれば、科学的な機器を用いた調査ができることが望ましいです。
買取店の場合は、実際に見積もりを取り、買取価格を比較してみることをおすすめします。その際、一点ものの骨董品や美術品は、複数の店舗で査定してもらうと良いでしょう。
ただし、買取価格の高さだけで判断するのは危険です。あまりにも高額な査定は、詐欺の可能性もあります。信頼できる業者であることを、まず何よりも重視する必要があるのです。
相談しやすい雰囲気かどうかを見極める
骨董品や美術品の評価を依頼する際は、業者との信頼関係が何より大切です。鑑定結果や買取価格に納得がいかない場合は、遠慮なく質問や相談ができる雰囲気かどうかを、見極めておきたいものです。
初回の問い合わせの際に、担当者の対応が丁寧かどうかを確認しましょう。専門用語を使いすぎず、わかりやすく説明してくれる業者なら、安心して任せられるはずです。
また、実際に店舗を訪問する際は、スタッフの態度や店内の雰囲気なども観察してみてください。お客様の立場に立った対応ができているかどうかが、信頼できる業者かどうかの判断材料になります。
3. 骨董品や美術品の価値を高めるために
せっかく遺品整理で見つかった骨董品や美術品です。できれば、その価値を高めてから評価に出したいものですね。ここでは、品物の価値を高めるためのアドバイスをご紹介します。
手入れと保管方法に気を付ける
骨董品や美術品の価値は、その保存状態に大きく左右されます。評価に出す前に、適切な手入れと保管を行うことが大切です。
陶器や漆器、彫刻などは、埃をはたき、柔らかい布で拭くなどの簡単なメンテナンスを行いましょう。ただし、水洗いや洗剤の使用は厳禁です。素人の手入れで、かえって傷つけてしまう恐れがあります。
掛け軸や絵画、書などは、虫食いやカビ、変色などに注意が必要です。風通しの良い場所で、直射日光を避けて保管することが大切です。専用の保存箱や額に入れるのも効果的でしょう。
大切なのは、品物の材質や特性に合わせた保管方法を選ぶことです。わからない場合は、専門家に相談するのが賢明です。
専門家に相談して、修復を検討する
骨董品や美術品に、キズや欠けなどのダメージがある場合は、専門家に相談して、修復を検討してみるのも一つの方法です。適切な修復を行うことで、品物の価値を高められる可能性があります。
ただし、修復には高度な技術が必要であり、素人の手で行うのは危険です。下手な修復は、かえって価値を下げる要因になりかねません。
信頼できる専門家に相談し、修復の必要性や方法、費用などを確認しましょう。時代や産地、作者によっては、あえて修復せずに、そのままの状態で評価に出す方が良い場合もあります。
鑑定や評価を受ける
最終的に、骨董品や美術品の価値を高めるために重要なのは、専門家による鑑定や評価を受けることです。品物の真贋や希少性、保存状態などを、専門の目で見てもらうことで、より適正な評価が期待できます。
鑑定書や評価書があれば、売却する際の根拠にもなります。美術品の場合は、展覧会の出品歴や所蔵歴なども、価値を高める要因になるでしょう。
ただし、鑑定や評価には費用がかかることを覚悟しておく必要があります。費用対効果を考えながら、必要な品物に絞って依頼するのが賢明です。
まとめ
遺品整理で見つかった骨董品や美術品の評価には、専門家の知見が欠かせません。しかし、ある程度の目利きができるようになっておくことも、遺品整理を効率的に進める上で重要です。
作者や製作年代、材質や技法、保存状態など、基本的な見分け方のポイントを押さえておきましょう。そして、信頼できる鑑定士や買取店を選ぶためのコツも、ぜひ参考にしてみてください。
また、骨董品や美術品の価値を高めるためには、適切な手入れと保管、専門家による修復や鑑定が効果的です。品物の特性に合わせた対応を心がけることが大切だと言えるでしょう。
遺品整理は、故人の人生に向き合う大切な機会です。骨董品や美術品を通して、その想いに触れられたら、きっと故人も喜んでくれるはずです。ぜひ、専門家の力を借りながら、丁寧に評価を進めていってください。
本記事が、遺品整理で見つかった骨董品や美術品の評価に悩む方々の一助となれば幸いです。故人への感謝の気持ちを胸に、大切な品々の価値を見出していってほしいと思います。
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